感染性心内膜炎の予防と治療に関するガイドライン(2008年改訂版)
Guidelines for the Prevention and Treatment of Infective Endocarditis(JCS 2008)
 
 
2 泌尿生殖器,消化管の手技・処置に対する予防
 泌尿生殖器や消化管に対する手術または器具使用後に発症する感染性心内膜炎は,ほとんどがEnterococcus faecalisを原因とする.グラム陰性桿菌が感染性心内膜炎の原因となることは非常に稀である.従って,心内膜炎に対する抗菌薬予防投与は,主として腸球菌に対して行うべきである.一方,泌尿生殖器,消化管の手技・処置が,感染性心内膜炎の原因となるか否かは,証明されていない.さらに,腸球菌の薬剤耐性が増加し,通常の抗菌薬の予防投与の効果がないことが十分に推定される.以上より,2007年の米国のガイドラインの改訂では,泌尿生殖器,消化管の手技・処置の前に,感染性心内膜炎の予防だけのために抗菌薬投与をする必要はないことになった.この点を踏まえて今回の当ガイドラインでも,泌尿生殖器,消化管の手技・処置に対しては,感染性心内膜炎のための抗菌薬の予防投与の推奨を省くことにした.

Ⅵ 予 防 > 3 予防法 > 2 泌尿生殖器,消化管の手技・処置に対する予防

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