感染性心内膜炎の予防と治療に関するガイドライン(2008年改訂版)
Guidelines for the Prevention and Treatment of Infective Endocarditis(JCS 2008)
 
 
1  外科治療の適応と手術時期
(表10)
 内科治療中の経過において,「うっ血性心不全」「抵抗性感染」「感染性塞栓症」のいずれかの病態が確認されるか予測できる場合に,手術適応とそのタイミングを考慮する.上記のいずれもがない患者では,通常の弁膜症の適応に準じてよい.
表10 感染性心内膜炎の手術適応
○自己弁および人工弁心内膜炎に共通する病態
Class Ⅰ
1. 弁機能障害による心不全の発現
2. 肺高血圧(左室拡張末期圧や左房圧の上昇)を伴う急
性弁逆流
3. 真菌や高度耐性菌による感染
4. 弁輪膿瘍や仮性大動脈瘤形成および房室伝導障害の出

5. 適切かつ十分な抗生剤投与後も7 ~ 10 日以上持続な
いし再発する感染症状
Class Ⅱ a
1. 可動性のある10 ㎜以上の疣腫の増大傾向
2. 塞栓症発症後も可動性のある10 ㎜以上の疣腫が観察
される場合
Class Ⅱ b
1. 弁形成の可能性がある早期僧帽弁感染
Class Ⅲ
上記の何れにも当てはまらない疣腫
○人工弁心内膜炎における病態
Class Ⅰ
1. 急速に進行する人工弁周囲逆流の出現
Class Ⅱ a
1. 弁置換後2 ヶ月以内の早期人工弁感染
抗菌薬抵抗性のブドウ球菌,グラム陰性菌による感染
2.適切かつ充分な抗菌薬投与後も持続する菌血症で他に
感染源がない場合

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