感染性心内膜炎の予防と治療に関するガイドライン(2008年改訂版)
Guidelines for the Prevention and Treatment of Infective Endocarditis(JCS 2008)
 
 
2 培養方法
 感染性心内膜炎を疑う場合は,24時間以上かけて連続3 回の血液培養を行う.持続性の菌血症が感染性心内膜炎の特徴であるため,血液培養を行うのは発熱の時に限る必要はない.また静脈血と動脈血とで培養陽性率に差はないため,静脈採血で十分である.各培養には最低10 ml の血液が必要である(好気性菌用培地と嫌気性菌用培地の各2 セット).抗菌薬投与下では,血液中に混入している抗菌薬の作用を中和するために,上記に追加して抗菌薬結合レジン入り培地を用いる.血液培養前の抗菌薬投与は血液培養陰性の主要な原因であるため,本症を疑い状態の落ち着いている場合は抗菌薬を48時間以上中止して血液培養をすべきである.ただし,重症の心不全や繰り返す塞栓症があり,心エコー図にて感染性心内膜炎に合致する所見がみられる場合は,抗菌薬は中止することなく継続する(表2).
表2 血液培養の方法例(文献37 より引用)
1) 手指消毒を行う.
2) ボトルの上面を10%ポピドンヨードまたは70%アルコ
ールで消毒する.
3) 穿刺部位を70%エタノールまたはイソプロピルアルコ
ールで消毒し,十分に乾燥させる.
4) その後さらに10%ポピドンヨードもしくは0.5%クロル
ヘキシジンアルコールを用いて消毒し,十分に乾燥させ
る.
5) 手指消毒を行ったのち,滅菌手袋を着用し,穿刺する.
6) 採取した血液を嫌気ボトル,次いで好気ボトルの順に注
入する.針刺しのリスクがあるため針の交換はしない.
7) 採取後ただちに細菌検査室または緊急検査室に提出す
る.やむをえず保存する場合は冷蔵せず室温で保存する.

Ⅱ 診断 > 2 血液培養 > 2 培養方法

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