感染性心内膜炎の予防と治療に関するガイドライン(2008年改訂版)
Guidelines for the Prevention and Treatment of Infective Endocarditis(JCS 2008)
2 疣腫の大きさと塞栓症のリスク
最近の経食道心エコー法の実施率が100%の前向き研究にて新たに発生した塞栓症と疣腫の大きさについて検討しているが,疣腫のサイズが10㎜を超え,可動性が大きいと新たな塞栓の頻度が高くなることを示している.塞栓症のリスク層別化に疣腫の大きさや可動性を診断することは重要なことである.メタ解析によると,左心系の感染性心内膜炎において10㎜以上の大きさの疣腫であれば塞栓を起こすリスクはオッズ比2.80と高くなる.
抗菌薬の治療が行われているにもかかわらず疣腫が大きくなるということは,感染が持続しておりコントロール不良であることを意味し,塞栓のリスクは増大する.詳しい解析では,大動脈弁に比し僧帽弁の感染性心内膜炎において塞栓のリスクが高くなると言われている.塞栓の発症を予測するためには経食道心エコー図が有用であり,疣腫の大きさが10~ 15㎜を超え可動性が大である場合は,早期手術が推奨される.
Ⅳ 合併症の評価と管理 > 2 心臓外の合併症 > 2 疣腫の大きさと塞栓症のリスク
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