感染性心内膜炎の予防と治療に関するガイドライン(2008年改訂版)
Guidelines for the Prevention and Treatment of Infective Endocarditis(JCS 2008)
 
 
1 塞栓症
 一般的に感染性心内膜炎に全身性塞栓症を発症する頻度は27~ 45%である.塞栓を起こす臓器として最も多いのは中枢神経系で約60~ 70%の頻度である.その他,脾臓,腎臓,肺,末梢動脈,冠動脈,肝臓,腸間膜動脈などである.何らかの感染兆候が発現してから抗菌薬治療開始までの間に塞栓症を発症する頻度は42%~76%と高い.治療開始後にも新たな塞栓症を引き起こす可能性はあり,その65%~ 82%は二週間以内に発症している.また一度塞栓を発症した例では繰り返す危険性が高いため,疣腫についての評価を速やかに行ない,また定期的な心エコー検査によるモニターが必須である.

Ⅳ 合併症の評価と管理 > 2 心臓外の合併症 > 1 塞栓症

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