感染性心内膜炎の予防と治療に関するガイドライン(2008年改訂版)
Guidelines for the Prevention and Treatment of Infective Endocarditis(JCS 2008)
 
 
6 全身性塞栓症
 全体では40%にみられるが,抗菌薬が効果的な場合はその頻度は減少する.脾梗塞を生じた場合は左季肋部痛を認めることがある.腎梗塞は無症状のこともあるが,側腹部痛を認めたり,肉眼的あるいは顕微鏡的血尿がみられることがある.脳塞栓は,中大脳動脈領域に15~20%の頻度で起こる.特にStaphylococcus aureus による感染性心内膜炎の場合は,塞栓症のリスクは高まる.四肢に塞栓を来すと四肢痛や虚血がみられる.腸間膜動脈に塞栓が起こると腹痛・イレウス・血便がみられる.中心網膜動脈塞栓の頻度は低い(3%以下)が,起こすと視力障害を来す.冠動脈の塞栓も生じ,そのために胸痛を来すこともあるが,貫壁性心筋梗塞に至ることは稀である.

Ⅱ 診断 > 1 症状・身体所見 > 6 全身性塞栓症

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